Zabbixのインストール

Zabbixのインストール方法はZABBIX-JPが配布するRedHat/CentOS用RPMによるインストールとソースコードからのインストール方法があります。通常はRPMを利用したインストール方法が簡単でアップグレードも容易です。OSに付属するデータベースやPHPを利用せず、独自にコンパイルしたものを利用する場合はZabbixもソースコードからのコンパイルが必要になります。

また、ZABBIX-JPではZabbixの動作に必要なライブラリや外部ソフトウェアのうち、RedHat/CentOSには含まれていないものもRPMで配布しています。ソースからインストールを行う場合でも、これらのRPMを利用することで簡単にZabbixをインストールすることができます。

目的に応じて以下のドキュメントを参照してください。個々の機能の詳細についてはZabbix SIAのオフィシャルドキュメント(英語, 日本語)を参照してください。

ZABBIX-JPのyumリポジトリ利用方法

ZABBIX-JPではZabbix 2.0以降のRPMの作成は行いません。新規にZabbixをインストールする場合はZabbix SIAが配布するオフィシャルRPM/Debパッケージを利用ください。オフィシャルパッケージはこちらからダウンロードできます。yum/aptを利用したインストール方法はオフィシャルドキュメントを参考ください。

ZABBIX-JPのyumリポジトリを登録することで、yumを利用したZABBIXのインストール/アップデートを行うことができます。ZABBIX RPMファイルやyumリポジトリ登録用RPMファイルのバグ報告はフォーラムにお願いします。

yumリポジトリ登録用RPMのインストール方法

Red Hat Enterprise Linux 4/ CentOS 4

以下のコマンドを実行します

# rpm -ivh http://repo.zabbix.jp/relatedpkgs/rhel4/i386/zabbix-jp-release-4-6.noarch.rpm

Red Hat Enterprise Linux 5 / CentOS 5

以下のコマンドを実行します

# rpm -ivh http://repo.zabbix.jp/relatedpkgs/rhel5/i386/zabbix-jp-release-5-6.noarch.rpm

Red Hat Enterprise Linux 6 / CentOS 6

以下のコマンドを実行します

# wget http://repo.zabbix.jp/relatedpkgs/rhel6/i386/zabbix-jp-release-6-6.noarch.rpm
# rpm -ivh zabbix-jp-release-6-6.noarch.rpm

注意点!

zabbix-jp-release-*-1.noarch.rpmからアップグレードする場合、一度RPMを削除してから上記のコマンドを実行してください。/etc/yum.repos.d/zabbix-jp.repoファイルが存在すれば正常にインストールが行われています。

利用するZABBIXのバージョンの切替方法

zabbix-jp-releaseで提供されるyumリポジトリ登録ファルは、不用意にZABBIXのメジャーバージョンアップが行われないようにZABBIXのメジャーバージョンを手動で切り替える仕組みになっています

デフォルトではZABBIX 1.4系のリポジトリを利用するように設定されています。現在利用しているリポジトリのバージョンの確認や他のメジャーバージョンへの切替方法は以下を参照してください。

現在使用しているリポジトリのZABBIXバージョンの確認方法

以下のコマンドを実行します。

 # alternatives --display zabbix-jp-release

以下のように現在の設定が出力されます。下記の場合、ZABBIX 1.4のリポジトリが選択されています。

 zabbix-jp-release - ステータスは手動です。
 リンクは現在 /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.4.repo を指しています。
 /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.1.repo - 優先項目 10
 /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.4.repo - 優先項目 30
 /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.6.repo - 優先項目 20
 現在の「最適」バージョンは /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.4.repo です。

使用するZABBIXのバージョンの切替方法

以下のコマンドを実行します。

 # alternatives --config zabbix-jp-release

以下のように表示されるため、利用したいZABBIXバージョンの行の先頭に表示されてる番号を入力してEnterを押します。

 3 プログラムがあり 'zabbix-jp-release' を提供します。
 
   選択       コマンド
 -----------------------------------------------
    1           /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.1.repo
 *+ 2           /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.4.repo
    3           /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.6.repo
 
 Enter を押して現在の選択 [+] を保持するか、選択番号を入力します:

yumのリポジトリのキャッシュを削除します。

 # yum clean all

yum searchを実行して選択したZABBIXのバージョンが表示されれば成功です。

 # yum search zabbix

zabbix-jp-release-*-2からアップデートする際の注意点

zabbix-jp-release-*.2にはバグが含まれており、以降のバージョンにアップグレードした場合にalternatives設定ファイルが削除されてしまいます。リポジトリ設定自体は削除されませんが、alternativesコマンドを利用したリポジトリ選択を行うことができません。

問題の詳細

正常なalternatives設定画面 (zabbix-jp-release-5-2から5-3へアップデートした画面の例)

 # alternatives --display zabbix-jp-release
 zabbix-jp-release -ステータスは自動です。
 リンクは現在 /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.6.repo を指しています。
 /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.1.repo - 優先項目 10
 /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.4.repo - 優先項目 20
 /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.6.repo - 優先項目 40
 /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.8.repo - 優先項目 30
 現在の「最適」バージョンは /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.6.repo です。

問題が発生した場合のalternatives設定画面 (zabbix-jp-release-5-2から5-3へアップデートした画面の例)

 # alternatives --display zabbix-jp-release
 zabbix-jp-release - ステータスは手動です。
 リンクは現在 /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.6.repo を指しています。
 /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.8.repo - 優先項目 30
 現在の「最適」バージョンは /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.8.repo です。

解決方法

zabbix-jp-releaseをいちど削除し、再インストールを行ってください。

zabbix-jp-releaseを削除 (alternatives関連のエラーが出ます)

 # rpm -e zabbix-jp-release

再度インストール

 # rpm -ivh zabbix-jp-release-5-3.noarch.rpm

Zabbixのインストール(RPM編)

ZABBIX-JPではZabbix 2.0移行のRPMの作成は行いません。新規にZabbixをインストールする場合はZabbix SIAが配布するオフィシャルRPM/Debパッケージを利用ください。オフィシャルパッケージはこちらからダウンロードできます。yum/aptを利用したインストール方法はオフィシャルドキュメントを参考ください。

yumリポジトリの登録

ZABBIX-JPのリポジトリをyumに登録していない場合はZABBIX-JPのyumリポジトリ利用方法を参考にあらかじめ設定を行ってください。

Zabbix 1.8

RPMパッケージのインストール

以下のコマンドでZabbixパッケージをインストールします。

 # yum install zabbix zabbix-agent zabbix-server zabbix-server-mysql zabbix-web zabbix-web-mysql

MySQLデータベースサーバの設定

ZabbixサーバのデータベースとしてMySQLを利用する場合の設定

  • MySQLデータベースの設定ファイル /etc/my.cnf を以下のように設定
  •  [mysqld]
     ・・・デフォルトの設定は残す・・・
     
     default-character-set=utf8
     skip-character-set-client-handshake
     
     # mysqldセクションに含まれるよう、mysqld_safeよりも上に設定を書くこと
     [mysqld_safe]
     ・・・デフォルトの設定は残す・・・
    

    (※MySQL 5.5以降では「default-character-set=utf8」ではなく「character-set-server=utf8」を利用します。)

  • MySQLデータベースサーバの起動
  •  # service mysqld start
    

    (※ Xen 準仮想環境上では、TLSが無効なためにMySQL自体が起動しない場合があります。その場合には「skip-bdb」を /etc/my.cnf の [mysqld] セクションに追加するなどの回避方法があります。)

  • データベース「zabbix」を作成
  •  # mysqladmin create zabbix --default-character-set=utf8
    
  • データベースにzabbix接続ユーザ「zabbix」を作成
  •  # mysql -uroot
     mysql> grant all privileges on zabbix.* to zabbix@localhost identified by 'zabbix';
     mysql> flush privileges;
     mysql> quit
    
  • Zabbixの初期データベースをインポートします
  •  # mysql -uroot zabbix < /usr/share/doc/zabbix-server-1.8.10/schema/mysql.sql
     # mysql -uroot zabbix < /usr/share/doc/zabbix-server-1.8.10/data/data.sql
     # mysql -uroot zabbix < /usr/share/doc/zabbix-server-1.8.10/data/images_mysql.sql
    

Webインターフェースの設定

  • Apache Webサーバの起動
  •  # service httpd start
    
  • ブラウザでZabbixサーバにアクセス
  •  http://zabbix-server-address/zabbix
    
  • インストール画面
  • ライセンスの確認画面
  • PHP設定の確認画面。すべてOk表示になるように設定を行う必要があります。

  • データベース接続設定を行います。「Test connection」を押してOkと表示されれば正常に接続が行えています。
  • Zabbixサーバのステータス確認用に利用する、Zabbixサーバのホスト名とポート番号を設定します
  • インストールのサマリ表示画面
  • Webインターフェースの設定ファイルを設置します。
  • (※SELinuxを有効にしている場合はファイルを自動的に保存できませんので、一度ダウンロードして、そのファイルをZABBIX-JPのRPMを利用している場合は、/etc/zabbixディレクトリに配置してください。ソースから導入された場合は、フロントエンド用PHPのファイルを配置したディレクトリの下にあるconfディレクトリに配置してください。)

  • Retryボタンを押し、設定が正常に保存されると以下の画面が表示されます
  • Webインタフェースのインストーラを終了します
  • 以下のログイン画面が表示されます。
  • デフォルトでは以下のアカウントを使ってWebインターフェースにログインすることができます。

    • ユーザ名: Admin
    • パスワード: zabbix

Zabbixサーバの設定

  • /etc/zabbix/zabbix_server.confの修正
  •  # Database host name
     # Default is localhost
     
     #DBHost=localhost
     
     # Database name
     # SQLite3 note: path to database file must be provided. DBUser and DBPassword are ignored.
     DBName=zabbix
     
     # Database user
     
     DBUser=zabbix     <- データベースユーザ名を設定
     
     # Database password
     # Comment this line if no password used
     
     DBPassword=zabbix     <- コメントアウトを外してデータベースパスワードを設定
    
  • Zabbixサーバの起動
  •  # service zabbix-server start
    

Zabbixエージェントの設定

  • /etc/zabbix/zabbix_agentd.confの修正
  •  Server=127.0.0.1     <- ZabbixサーバのIPアドレスを設定
     
     # Server port for sending active checks
     
     #ServerPort=10051
     
     # Unique hostname. Required for active checks.
     
     Hostname=Zabbix Server     <- Webインターフェースのホスト設定で登録するホスト名と同じ値を設定
     
     # Listen port. Default is 10050
     
     #ListenPort=10050
     
     # IP address to bind agent
     # If missing, bind to all available IPs
     
     ListenIP=127.0.0.1     <- ListenするIPインターフェースを設定
    
  • Zabbixエージェントの起動
  •  # service zabbix-agent start
    

Zabbixのアップグレード

Zabbixのバージョン表記と互換性

Zabbixのバージョンははバージョン表記のうちZ.Y.ZのZ.Yまでがメジャーバージョン、Zがマイナーバージョンを表します。1.6、1.8などがメジャーバージョン、1.8.5、1.8.10の3つ目の数字がマイナーバージョンです。

Zabbixサーバはエージェントに対して下方互換性を持つように開発されています。そのためZabbixサーバをアップグレードするために、各監視対象にインストールされているエージェントをアップグレードする必要はありません。実運用にあたり、先にZabbixサーバのみをアッップグレードしておき、後から随時エージェントをアップグレードしていくことができます。

ただし、エージェントのバージョンに依存する監視機能については、エージェントのアップグレードを行わないと新機能に対応することはできません。(例えば、1.8から追加されたログ監視用のlogrtキーを利用するためにはZabbixサーバ、エージェントともに1.8以上を利用する必要があります。)

マイナーバージョン間のアップグレード

1.8 -> 1.8.10のようにマイナーバージョン間のアップグレードの場合はバイナリを置き換えるのみでアップグレードが完了します。ZABBIX-JPのyumリポジトリを利用している場合は以下の手順でアップグレードを行ってください。

  • Zabbixサーバ、エージェントを停止
  • # service zabbix-server stop
    # service zabbix-agent stop
    
  • バイナリのアップグレード
  • # yum update zabbix
    
  • Zabbixサーバ、エージェントを起動
  • # service zabbix-server start
    # service zabbix-agent start
    

メジャーバージョン間のアップグレード(Zabbix 1.6 -> 1.8)

メジャーバージョン間のアップグレードにはデータベースのスキーマ変更が必要です。スキーマ変更用のSQLファイルはRPMやソースコードに付属するため簡単に行えますが、事前にデータベースのバックアップを取得したり、SQL適用の手順が必要なためマイナーバージョン間のアップグレードより手間がかかります。アップグレードに際しては事前の検証などを行われることを推奨します。

Zabbixサーバ、エージェントを停止

動いているZabbixを止めます。

# service zabbix-server stop
# service zabbix-agent stop

データベースのバックアップを取得

念のために以下のコマンドでzabbixデータベース全体のバックアップを取得しておきます。長期間のデータが保存されている場合、この処理には時間がかかることがあります。以下はMySQLを使用している場合です。

# mysqldump --opt --no-autocommit -uroot -p -B zabbixのデータベース名 > zabbix.dump

yumリポジトリを1.8に切り替える

以下のようにコマンドを実行し、利用するリポジトリを1.6から1.8に切り替えます

# alternatives --config zabbix-jp-release

4 プログラムがあり 'zabbix-jp-release' を提供します。
 
   選択       コマンド
 -----------------------------------------------
    1           /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.1.repo
    2           /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.4.repo
 *+ 3           /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.6.repo
    4           /usr/share/zabbix-jp-release/zabbix-jp-1.8.repo
 
 Enter を押して現在の選択 [+] を保持するか、選択番号を入力します: 4    <-- 4を入力して1.8のリポジトリを選択
 

RPMのアップグレード

以下のコマンドを実行しRPMをアップグレードします。

# yum clean all
# yum update zabbix

データベースのスキーマを変更

/usr/share/doc/zabbix-server-1.8.10/dbpatches/1.8/使用しているDBに移動し、patch.sqlを実行します。以下はMySQLを使用している場合です。

 mysql -uアカウント -p zabbixのデータベース名 < patch.sql

パッチの実行時にエラーが出た場合、取得しておいたデータベースのバックアップを戻してから再度試してみてください。ページ末尾の「アップグレード時にエラーが出た場合」もご参考ください。

設定ファイルの修正

ZABBIX 1.6とZabbix 1.8では設定ファイルの表記が異なっています。動作に最低限必要な設定は変わっていませんので前のバージョンの設定ファイルを見ながら新しい設定ファイルします。以下は最低限の設定が必要です。(MySQLを使用していた場合)

  • zabbix_server.conf
  •  LogFile=ログファイルの出力先
     PidFile=PIDファイルの出力先
     DBName=データベース名
     DBUser=データベースの接続アカウント
     DBPassword=データベースの接続パスワード
     ListenIP=ZabbixサーバのIPアドレス
    
  • zabbix_agentd.conf
  •  PidFile=PIDファイルの出力先
     LogFile=ログファイルの出力先
     Server=ZabbixサーバのIPアドレス
     Hostname=(フロントエンドに登録する)ホスト名
     ListenIP=ZabbixエージェントのIPアドレス
    

アップグレード時にエラーが出た場合

いくつかのバージョンの組み合わせでエラーが出ることが確認されています。エラーが発生した場合は以下の情報も参考にしてください。

1.6系を1.8.3以前の1.8系に移行する場合

以下のSQLを実行します。

 alter table dhosts drop index dhosts_1;
 alter table dservices drop index dservices_1;
 alter table httptest drop index httptest_2;
 alter table httptest drop index httptest_3;
 alter table history_log drop index history_log_2;
 alter table history_text drop index history_text_2;
 alter table actions drop index actions_1;
 alter table escalations drop index escalations_2;
 alter table graphs_items drop index graphs_items_1;
 alter table graphs_items drop index graphs_items_2;
 alter table services drop index services_1;
パッチ実行時に「Duplicate key name 'actions_1'」がでた場合

※:2011/06/26時点では1.6.8->1.8.3、1.6.9->1.8.5でエラーの発生が確認されています。

 [xxxxxxxx]# cat patch.sql | mysql -uXXXX -pXXXX zabbix
 ERROR 1061 (42000) at line 1: Duplicate key name 'actions_1'

対策:パッチ実施前に下記の実行が必要です。

MySQLの場合

 alter table dhosts drop index dhosts_1;
 alter table dservices drop index dservices_1;
 alter table httptest drop index httptest_2;
 alter table httptest drop index httptest_3;
 alter table history_log drop index history_log_2;
 alter table history_text drop index history_text_2;
 alter table actions drop index actions_1;
 alter table escalations drop index escalations_2;
 alter table graphs_items drop index graphs_items_1;
 alter table graphs_items drop index graphs_items_2;
 alter table services drop index services_1;

Oracleの場合

 drop index dhosts_1;
 drop index dservices_1;
 drop index httptest_2;
 drop index httptest_3;
 drop index history_log_2;
 drop index history_text_2;
 drop index actions_1;
 drop index escalations_2;
 drop index graphs_items_1;
 drop index graphs_items_2;
 drop index services_1;